「子どものため」のつもりで暴走しないために

子どもの可能性を広げてあげたい。才能を育ててあげたい。楽しいことを、得意なことを、たくさんみつけてあげたい。そんな思いではじめる教育ですが、やはり一歩間違うと親のエゴに成り下がり、かえって過剰な期待で子どもを苦しめる例も多いと聞きます。この記事では、そうならないために何度も読み返している、本当におすすめできる育児書をご紹介します。早期教育に限らず、育児中のすべての方を助けてくれる良書だと思います

子どもの「できる」を数えると息苦しくなる

本来の早期教育は、決して成果を焦るものではなくただただ子どもの成長をみつめて応援することに尽きる、と私は思っています。いつハイハイできた、いつ話した、というのは結果でしかなく、それを求めては母子ともに息苦しくなるだけなんですよね。熱心なママほど、子どもを追いつめやすいと感じます。(自戒をこめて)

とはいえ、私たち親も競争社会で比較されて生きてきているので、どうしても子どもが「できたこと」「できないこと」に目がむくのも、ある程度しょうがない気もいたします。私も、本当はただただ無条件に愛したいのだけど、つい「できること」を見つけて褒めちゃったり。裏返すと、その他の「できないこと」を責めていることにつながるので、年齢によっては褒めすぎも微妙だと家庭保育園の担当さんに教わり、気をつけているのですが……。

そこで「子どものための早期教育」を続けるために、度々「あぁ、そうだった!」と反省させてくれる育児書を本棚にそろえています。たくさん読みましたが、この3冊は何度読んでも気づきがあり、先人の素晴らしい遺産だと感じます。すべてのお母様におすすめしたい本たちです。

育児書の王道!佐々木正美先生「子どもへのまなざし」

育児不安に寄りそいながら、本質をついた助言をくれる

児童精神科医として30年以上、保育の現場をみている佐々木正美先生が書かれた、育児書における大ベストセラーが「子どもへのまなざしです。私たちの親の代から売れ続けている育児書なだけあって、本当に優しく、そして本質的な厳しさのある良書。読むだけで、あぁそうだ、そうだった、子育てってそういうことだった、と涙がでてしまいます。

分厚い本ですし、決してイマドキの育児本のような軽い読みやすさではありません。気休めの励ましや、昔はよかったという感情論でもありません。データに裏打ちされた「現代の育児の難しさ」「母親の育児不安」を丁寧に解説しながら、それでも子育てを楽しむために、母として生きていくために何が必要か、まさに「子どもへのまなざし」を具体的に教えてくださいます。

乳幼児期は人間の土台作り。最も重要な時期である

佐々木先生が「子どもへのまなざし」内で繰り返されるのが、乳幼児期の大切さです。建物の基礎工事と同じで、目にはみえないけれども最も重要な土台であり、家具や内装(外見や大学名などの肩書き)と違って取り替えがきかないものだ、と語られます。

この時期に、母親から無条件の愛を注がれること、自分が生きていていいんだと自信をもつことがまず必要で、それさえあれば後からいくらでも家具は変えられる、と。乳幼児期は、母親もつらい時期だけれど、ものすごく大切な事業をしているのだ、と仰ります。

「思い通りになる子」を目指すのは精神的な虐待

また、条件つきの愛は子どもを苦しめるということも度々語られます。親の思い通りにできたときだけ褒めて、溺愛するというのは、いい子を強いる精神的な虐待なのだと。子どもが求めているのは、ただ存在を愛し、受け入れてもらうことなのだと。本当にそのとおりだ、といつもはっとさせられます。

早期教育は「淡々と」成果を求めずやるべきだ

佐々木先生は、早期教育の危険性についても述べておられます。どうしても親が成果を焦ってしまうので、それでは本末転倒であると。結果を求めず、ひたすらインプットに努め、たくさんの興味の芽を育ててあげるのは素晴らしいことだ、とされています。

これは、家庭保育園の教えとも同じなんですよね。難しいことを無理にさせる必要なんてない、まずは「好き」を育ててあげるべきで、アウトプットを焦ってはいけない、と。七田式や公文などの幼児教室では「親を満足させるために(継続的なお月謝のために)アウトプットを急ぐ」ことに重点がおかれている気がしてしまって私には合わなかったのですが、その感覚も佐々木先生のお言葉が脳内にあるからではないか、と思います。

娘にはたくさんの可能性をみせてあげたいけれど、私の理想を押しつけてはいけない。私がすすめたヴァイオリンやバレエより、たとえばサッカーが好きになったとしても応援したい。勉強より芸術が好きなら、それでもいい。お友達に優しくできたら、その方が成績よりも素晴らしい。そんな風に考えるようになりました。

続編が2作ありますが、どれも示唆に富んでおり素晴らしい本です。正論を説きながらも決して母親を責めず、あくまで寄り添いながら問題を紐解く優しい姿勢が、育児の不安も溶かしてくれます。「子どもへのまなざし」は早期教育に限らず、すべてのママにおすすめしたい1冊です。

自然療法の元祖。東城百合子先生「自然に学ぶ 食卓からの子育て」

子どもの健康を守れるのは母親の食事だけ

今でこそ、食品添加物や過剰な医薬品、農薬の害などが問題視されるようになりましたが、東城先生はもう50年近く前からそれを説き、自然療法による「無理のない予防」を提唱されている方です。

母乳育児に詳しい助産師さんに、里芋湿布やキャベツの手当などの話をされた妊婦さんもいらっしゃるのではないでしょうか。健康を説く方は多々いらっしゃいますが、もとをたどれば東城先生の教え、ということが多いですね。特に真弓定夫先生、若杉友子ばあちゃんのご本がお好きな方は、ぜひご一読をおすすめしたいです。

暖かいほほえみ、やさしい言葉、湯気の立つ食卓、そして「行ってらっしゃい」「おかえりなさい」の笑顔があるなら、子は決して曲がらず立派に育つ、と大地は語りかけます。ー出典「食卓からの子育て」

その東城先生、実は育児書もたくさん書かれていらっしゃいます。子どもの問題は心身の不健康から生まれる、子どもの健康を守れるのは母親の食事、ということだからなんですね。その中でも、この「自然に学ぶ 食卓からの子育て」は、食事の注意だけでなく、しつけや親の心構えについてもとっても勉強になる一冊です。

食に感謝し、謙虚に生きれば「健康」になる

自然療法というと、まぁやっぱり「玄米菜食」なんです。笑 ですので反射的に「無理!」という方も多いかと思います。現代に生きる私たちは、おいしいものをたくさん食べて育っているので、なかなか玄米菜食を徹底するのは難しいですよね。

ただ、東城先生は「白米や白砂糖をやめたって、心に恨みがたまっていれば健康にはなれない」とはっきりおっしゃいます。そして「食卓からの子育て」では、厳しい玄米菜食ではなく、取り入れられる範囲での食事の工夫を教えてくださいます。むしろ食事の内容の前に、母の心のあり方を正そう、というスタンスのように思います。

世の中に子を愛していない親はいないはずです。ところが、現実は子どもの姿を見るとイライラし、怒ってばかり。どうしてこの子は親の願い通りにならないのか、と思います。が、子は親の願いの如くではなく、親の「心」の如く育つのです。子の姿は親自身のイライラした心の姿なのです。ー出典「食卓からの子育て」

東城先生のお言葉はどれも芯が通っており、背筋が正される思いです。早期教育が活きるにはまず健康な体が必要で、それには食事に感謝し、周囲を思いやって活きる謙虚な姿勢が必須なんですよね。親自身がその姿を示すことで、はじめて子どもに伝わるのだと改めて感じました。

また、「いくら体にいいものであっても、栄養なんて説明では子どもの心には届かない」というお話もあります。実際に大地にふれるとか、お日様の恵みについて物語るとか、一方的な押しつけでない工夫が大切なんだな、と気づかされます。しつけの具体例も勉強になります。

子どもの癇癪や気弱、母乳育児の不安も解消

厳しい玄米菜食でなくとも、できる限り添加物を避けるとか、白砂糖だけでもやめてみるとか、まずはやってみよう!と思える前向きな事例がたくさん載っています。中でも、子どもの癇癪や気弱など、神経系を落ち着かせる工夫は、早期教育を成功させる上でもとても大切なポイントだと思います。頭のまえに体と心を、健康にしてあげたいですよね。

母乳育児についても詳細な指導があります。ただ一点、離乳食に関しては東城先生のやり方では早すぎると感じており、私自身は西原式を採用しています。(早すぎる離乳食はアレルギーやアトピーのもと、と家庭保育園でも教わりました)また、子どもは玄米を消化できる腸ではないように感じており、白米を食べさせております。そのあたりは、個々人でご判断いただくのがよさそうです。

まとめますと、東城百合子先生の「自然に学ぶ 食卓からの子育て」は、直接的な早期教育の本ではないものの、実際には早期教育に必要不可欠な食事、健康、しつけ、母親のあり方が正しく説かれており、心からおすすめできる一冊です。

脳科学を軽快に説く黒川伊保子先生の「家族脳」

面白くて読みやすく、心から納得できる脳のエッセイ

黒川伊保子先生といえば、「恋愛脳」、「夫婦脳」というものすごく面白くてためになる、脳科学のご本が有名ですよね。脳科学といっても堅苦しいことは何もなく、分かりやすく読みやすいエッセイです。くすっとしたり、はっとさせられたり、ほろりと泣けたり。脳を見つめながら、人間を愛情深く紐解く科学者でいらっしゃいます。

脳科学的に、夫婦は「同じものを見て、同じように感じ、共感と敬愛でしみじみとことばを交わす」ようにはできていない。生殖して遺伝子を残す。そのもっとも効率的な方法は、「感性の違うもの同士の掛け合わせ」に他ならない。ー出典「家族脳」

その黒川先生が書かれた、最新の脳科学育児書が「家族脳」です。「恋愛脳」、「夫婦脳」では男女の脳の仕組みの違いを分かりやすく解説されていたのですが、今回は「母親」「父親」「子ども」それぞれの脳が交わって変わっていく様子を、具体的なシーンを紐解きながら紹介されており、なるほど!と思うことだらけです。

子育ての記憶は、人生を美しく飾る宝石になる

ほしくてたまらなかった子ども、可愛い我が子でも、やはり毎日の育児では疲れがつきもの。特に早期教育まで手を広げていると、普通の育児より工夫がいるわけで、脳はフル回転ですよね。時々は、ため息もつきたくなります。

息子は可愛くて仕方なかったけれど、泥沼を歩くような疲弊感が常にあった気がする。二人でトラックにぶつかりそうになったとき、「このまま轢いてくれたら、楽になるのに」と思ったのを覚えているもの。(略)子育てを楽しもう。その記憶は、やがてどの宝石よりも、あなたを美しく飾るはずだから。ー出典「家族脳」

そんな私たち母親にも親しみやすい口調で、こんな風に綴られるエッセイですが、甘やかすだけではなく「でも母親ってこうありたいよね!」と、さらっとした応援が随所に散りばめられています。子どもを正しく教え導くには、まず母が元気であることが大事。「家族脳」にはそのためのエッセンスがつまっています。

脳科学から子どもと夫の生態を丸裸にする

新生児でもママの真似をして舌を出し入れできる、というミラーニューロンの話や、眠りの質を決める脳の仕組み、内村航平選手があれだけの神業をやってのける理由、男の子と女の子の育て方の違いなどなど、もう面白い話が満載です。

女性脳は、生まれながらにして、身の回りや、大切な存在をつぶさに観察する才能を持ち、かすかな変化を無意識のうちに感じ取って、未来の危険を知らず知らずのうちに回避する能力を持つ。だから、女の子は、母親の言動の矛盾を指摘し、小姑のようにふるまえる。ときに煙たいけれど、けっこう頼りになる生活のパートナーだ。

 

脳は、さぼらない器官である。苦手なことがあるということは、必ずその裏に才能がある。

 

「この時間は、母親を独占させる時間」と決めたら、その定番を守ること。携帯電話に出たら、それは子どもの脳の中では「独占時間」ではなくなる。子どもの脳では、直感的な認識が優先され、記憶を情動で紡ぐので、時間や回数の感覚もきわめて主観的だ。ー出典「家族脳」

食事や眠り、しつけなど、早期教育にも欠かせない知識がたくさんあり、どれも納得のできる説明があるので、すっと入ってきます。具体例が全部「あ〜あるある」というものばかりで面白く、あっという間に読み終えてしまいますよ。

ちなみに黒川先生は明確に「結果を先回りして教える早期教育」は否定されています。数字もかなも教えず小学校にいれた、と書かれています。その考え方も、早期教育をやる側としてすごく参考になりました。変に理屈だけ教えて、小利口な子どもにしてはいけない、そう強く感じます。

家族が愛しくなる、命が愛おしくなる「脳科学」

「恋愛脳」、「夫婦脳」でもそうだったのですが、黒川先生の話は脳科学なのに人間愛に満ちています。およそ科学とは真逆にある「心」を丁寧に解説してあり、読んでいると「あぁそうか、こんな風にすれ違うんだな」「そう言えばよかったんだ」と納得できて、最終的にはなんだか夫や子どもが愛しくなってくるのです。

早期教育は、愛がないとただの親の自己満足だと思います。でも愛って不確かでつかみどころがなくて、見失いがちなんですよね。「家族脳」を読むと、間違いやすいポイントをつかむことができ、かつ「間違ってもやり直せる」という自信もわいてきます。何より命そのものが、なんだか愛しくてたまらなくなってくるのです。

まとめると、黒川伊保子先生の「家族脳」は、早期教育に限らず、家族にイライラしたり、育児を投げ出したくなったときにもおすすめできる、とっても読みやすくてためになるエッセイです。ぜひ読んでみてくださいね。

まとめ

読んだ育児書はゆうに100冊をこえる私ですが(笑)、中でも何度も読み返している、本当にためになる育児本は以下の3冊です。
佐々木正美先生「子どもへのまなざし
東城百合子先生「自然に学ぶ 食卓からの子育て
黒川伊保子先生「家族脳 親心と子心は、なぜこうも厄介なのか

どれも早期教育の本ではなく、むしろ不自然な早期教育は否定している方々のものなのですが、書かれていることは正しい教育論であり、それこそが目指すべき「早期教育」の姿だと感じます。

自分の思い通りに子どもを操縦しようとしてしまったとき、成果を求めてしまうとき、過剰な期待で子どもを縛ってしまいそうなとき、家族や育児に疲れたとき、ぜひ読んでみてくださいませ。妊婦さんも先に読まれておくと育児の道筋がついて、とってもラクになると思います^^

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